経営コラム第95回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!

第95回 不正のトライアングルを理解して経理不正を予防する

なぜ予期せぬ不正が発生してしまうのか?
大リーグの大谷選手の元通訳が、ギャンブルにはまり選手の銀行口座から無断で20億円以上を送金したというニュースが報道されています。
信頼していた人に裏切られたこの事件は、企業経営者にとっても他人事ではありません。
社内で不正が起きないようにするために、職場環境を定期的に点検することが重要です。
不正の発生要因を理解するには、「不正のトライアングル」理論が有効とされており、会計の分野でも以前から活用されています。
不正は、「動機」「機会」「正当化」の3つの要素が揃った時に発生するというものです。
そこで今回は、不正のトライアングルの観点から経理の不正について、説明します。

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■不正を起こす動機は何か?

社員の個人的な金銭問題が動機となり、会社の資金を横領したり、売上を着服したりするケースがよくある
パワハラやセクハラなどの人間関係の問題や、人事の不当評価などが動機となり、復讐のために不正を行うケースもある
社員の個人的な動機を事前に把握することは難しいが、コミュニケーションをとり生活状況の変化や悩みを確認しておく

■不正が起きる機会をつくらない

検証体制がないと、不正が発生していても問題として認識されにくく被害が大きくなる
特に会社の資金に関連する業務に関しては、内部統制を強化し報告義務を徹底させることが大切
不正が発生する機会を減らすために、担当者を3年以内に定期的に交代させ、承認検証体制を見直す

■不正を正当化させる心の隙を許さない
不正は悪いと理解しているが、不正の動機と機会が揃うと、自分の不正行動を都合よく正当化してしまう
「みんなやっている」「バレなければ大丈夫」と一度自己正当化できると、その後は常習化する
コンプライアンス研修や倫理教育を継続的に行い、懲罰制度についても説明を繰り返すことが重要

不正ができない仕組みや監視が厳しい仕事環境を整備すると、不正の発生率は確実に下がる

不正の動機や正当化に関しては、風通しの良い職場作りや、研修教育、社員のメンタルケアも大事