経営コラム第121回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!
第121回 自己資本比率に注目して安定経営を目指す
会社の安全性は自己資本比率で評価される
中小企業は、大企業と違い財務基盤が不安定なので、業績が黒字だからといって、安心していると危険です。
社長としては、毎月の損益計算書だけではなく、貸借対照表で財務状態を必ず点検するようにしましょう。
貸借対照表は月次の金額ベースでは、あまり大きな変動がないので、全体の財務バランスを比率で捉えるようにします。
財務バランスの安全性をチェックするときに使う指標が、「自己資本比率」です。
資金調達の健全性や財務の安定性を示すこの数値は、金融機関からの融資判断や取引先からの信用評価にも直結します。
そこで今回は、自己資本比率による安全性の管理の仕方について、説明します。
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■自己資本比率の標準的な評価基準と中小企業の平均値
自己資本比率とは、総資産(総資本=自己資本+他人資本)に占める自己資本の割合を示す指標
自己資本比率 = 自己資本(純資産) ÷ 総資産(総資本) × 100(%)
自己資本比率が高いほど、返済が必要な債務が少ないため、財務体質が安定している
■月次決算で見るべき自己資本比率のポイント
自己資本比率は月次での変動が小さい指標だが、変化があったときは、必ずその原因を確認する
新たな銀行借り入れをした場合、負債が増えた分だけ総資本が増加するので、自己資本比率が低下
将来的な収益増加によって、いつまでに自己資本比率を回復させるかを予測して計画する
■自己資本比率の改善対策
税引き後利益を継続的に出すことにより、利益剰余金を内部留保し、自己資本比率が高まる
節税ばかりしていると自己資本比率が改善されず、結果として金融機関から融資を受けにくい
使用していない不動産、機械設備、ゴルフ会員権などがあれば、売却を検討するのも一案
自己資本比率が高い会社ほど、経営の安定度と自由度が増す
銀行融資や事業承継、M&A(買収合併)などの場面で、高い自己資本比率の会社は優遇される