経営コラム第119回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!
第119回 下請法改正で社長と経理が今から取り組むべきこと
下請法改正による中小企業の経営環境の整備
令和7(2025)年5月に下請法が改正され、令和8(2026)年1月施行となります。
この改正は、中小企業、特に下請事業者の経営環境を大きく左右する重要なものです。
取引の上下関係を表していた「下請」という用語は廃止され、「下請事業者」は「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」に改められました。
特に、長年の課題であった価格交渉の適正化、および下請事業者の資金繰りを圧迫してきた手形払いの原則禁止は、中小企業の経営者、そして経理担当者にとって、すぐに対応すべき事項となります。
そこで今回は、下請法改正で中小企業が取り組むべきことについて、説明します。
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■価格交渉の義務化と一方的な価格決定の禁止
委託事業者が中小受託事業者との価格協議に応じない、または一方的に代金額を決定する行為が禁止された
値上げ交渉をしても受け容れてもらえなかった下請事業者が正当に価格交渉ができるようになる
会社としては、原価構成やコスト増加の要因を具体的に説明し、価格改定の正当性を示す資料を準備することが重要
■手形払いの禁止による支払手段の見直し
手形払いは下請事業者の資金繰りを圧迫する要因となっていたが、今後は現金による支払いが原則となる
電子記録債権(でんさい)やファクタリングなど、支払期日までに代金相当額を得ることが困難な手段も禁止の対象
下請代金の支払手段として手形払いが禁止され、納品後60日以内の現金払いとなる
■受注側と発注側の双方の取引に影響
中小企業であっても、外注業者へ仕事を委託している場合、委託事業者として下請法改正の影響を考えておく
資本金1千万円超の会社であれば、資本金1千万円以下の会社に仕事を委託する場合、下請法が適用される
受注側と発注側の双方の立場で、価格交渉の仕方や決済手段に影響することになる
下請法改正は、中小企業にとって、委託事業者との関係性を見直し、より健全な取引関係を構築するための大きな機会
価格交渉の適正化は、持続的な事業成長の基盤となり、手形払いの原則禁止は、資金繰りの安定化に大きく貢献する