経営コラム第117回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!
第117回 社長が決算内容を社員に説明するときに伝えるべきこと
決算説明における幹部・中堅・一般従業員への伝え方の違い
決算書は会社の経営状態を数字で示した成績表であり、健康診断書です。
中小企業の社長が、社員に対して決算内容を説明することは、単なる数字の報告にとどまらず、会社の現状と方向性を共有する大事な機会です。
しかし、企業活動の成果である決算書を見せただけでは、数字の意味が社員に正しく伝わりません。
幹部社員、中堅社員、一般従業員と、役職ごとに知識や関心の対象が異なるからです。
それぞれの立場に応じて、伝える内容や使う言葉、示すべき会計数値には違いがあるため、説明の内容や言葉遣いを適切に調整することが求められます。
そこで今回は、階層別の決算内容の伝え方について、説明します。
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■幹部社員と経営視点を共有し、次の一手を議論する
幹部社員には、損益計算書(P/L)の収益項目にフォーカスして、業績推移と目標達成度を中心に伝える
赤字の場合には現状を詳細に伝え、その原因を共に分析し、具体的な改善策と再建方針を話し合う
経営の意思決定に関わってもらうため、決算書を通してリスクや課題も伝え、財務改善の協力を要請
■中堅社員の現場の努力を評価し、コスト意識を持たせる
中堅社員への決算説明では、会社全体の話から部門別損益に注目し自分たちの仕事へのつながりを意識させる
原材料や諸経費の値上がりの収益構造への影響を理解してもらい、コスト意識を再確認
社員の具体的な努力の成果について、業績数字にどう反映したかを検証しモチベーションを高める
■一般従業員に安心感を与え、目標達成への意識を高める
業績が好調な商品サービスなどポジティブな情報を中心にどのように収益を上げているかをイメージしてもらう
業績が不振の場合には、正直に伝えながらも過度に不安を感じさせず、業績回復への道筋を話す
会社の財務状況が安定しており、安心して働き続けられる経営状態であることをしっかりと伝える
決算説明会は会社の現状を社内で共有し、社員一人ひとりの意識を高め、組織の一体感を高めるための貴重な機会
社長自らが熱意を持って会社の状況を数字で語り、社員の頑張りを認め、未来への期待を共有する