経営コラム第86回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!

第86回 電子取引のデータ保存に関するよくある質問

電子取引データはどの範囲まで保存すればいいのですか?
改正電子帳簿保存法(電帳法)が2024年1月から始まり、このような問合せが企業の取引担当者から経理部門に多く寄せられています。
電帳法が規定する電子取引は、電磁的に行われる取引データが広い範囲で該当することになります。
しかし、すべての取引データを電帳法の要件どおりに保存していたら、事務作業が増えてしまいます。
会社としては、実務上必要な範囲で保存するデータを決めて運用していくことになります。
そこで今回は、電子取引のデータ保存に関するよくある質問について、説明します。

電子取引データの保存範囲は社内で決まっていますか?

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■金額訂正前の見積書データは保存すべきか?

電子取引としてデータ保存する帳簿書類の対象範囲は、今まで紙で保存してきた書類と変わらない
取引には至らなかった見積書等のデータまで要件どおりに保存していたら、事務負担が増えてしまう
電子取引データの保存が義務付けられたからといって、保存する書類の対象範囲を広げすぎない

■ECサイトの領収書データはダウンロード必要?

ECサイトでは購入履歴データがクラウド上に保存されていて、取引内容を閲覧ことができる
クラウド上にデータが保存されている場合、必ずしも領収書データを都度ダウンロードする必要はない
経費精算業務においては、ECサイトからダウンロードした領収書データで処理するほうが事務効率がよい

■電子取引データーのシステム整備はいつまでにすればいいのか?
電子取引データを保存するためのシステム整備が間に合わない場合には、猶予措置が認められている
人手不足や資金不足の場合、電子取引データを紙に印刷してデータを提供できる状態にしてあればよい
電子取引データの件数が増え、資金や人手に余裕ができた段階でシステムの整備を進めていく

電帳法は、書類をデジタル化して会社の事務処理効率を向上させるために活用する

電帳法対応のために、管理する書類の対象範囲を広げたり、事務作業を増やしたりして、業務効率を落とさない