経営コラム第75回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!
第75回 インボイス制度点検その6 家賃支払いのインボイスの保存
「支払先から請求書や領収書が発行されない場合、インボイスの保存はどうすればいいですか?」という質問を経理担当者からよく受けます。
インボイス制度においては、仕入経費の支払いや資産を購入した場合、原則として必ず適格請求書(インボイス)の保存が必要になります。
これまで請求書や領収書を受け取っていなかった取引に関しても、2023年10月以降はインボイスを保存するようにしなければなりません。
インボイス制度の対応で忘れがちなのが家賃の支払いです。
毎月定額を銀行振り込みや口座引き落としで支払っているオフィスの家賃等については、請求書や領収書が発行されていないことがよくあります。
このままでは、インボイスの保存がされてないということで消費税の仕入税額控除ができなくなってしまうので注意してください。
家賃の支払いについては、事前にインボイス制度に対応した準備が必要です。
そこで今回は、家賃支払いのインボイスの保存について、説明します。
御社は、賃貸オフィスや月極駐車場を何件借りていますか?
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■大家さんにインボイス登録状況を確認
賃貸借契約を交わして家賃等を支払っている事務所や営業所、倉庫、月極駐車場等が対象
社宅や社員寮などの居住用物件については消費税が非課税なので、インボイスの保存は不要
大家さんに直接インボイス登録の確認をするか、仲介している不動産管理会社に確認を促す
■既存賃貸借契約はインボイスの不足事項を覚書で補足
賃貸借契約書と預金通帳の記録などの複数の書類を組み合わせてインボイスとする
大家さんに賃貸契約書に記載されていないインボイス登録番号等を記載した覚書を発行してもらう
会社側で契約書と覚書を一緒に保存しておくことによりインボイスの保存要件をクリア
■新規の賃貸借契約は登録番号を契約書に記載しておく
新たにオフィスや月極駐車場などを契約するときは、賃貸借契約書にインボイス必要事項を記載
個人地主から月極駐車場を直接借りる場合には、契約前にインボイス発行事業者かどうかを確認
貸主がインボイス発行事業者でない場合は、仕入税額控除の経過措置を踏まえて賃料を交渉
請求書が手元に届かない家賃の支払いに関しては、インボイスのチェックが見落とされがち
インボイス制度導入前までに必ず賃貸借契約書の記載事項を総点検しておく