経営コラム第89回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!

第89回 賃上げしたら法人税の減税で取り返す!

「賃上げ促進税制」を活用しよう!
6割超の中小企業が2024年も賃上げを予定しています(日本商工会議所「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」)。
人手不足や物価上昇の中で、優秀な人材を確保するために賃上げは避けられない現実です。
しかし、賃上げには経営への負担も伴います。
そこで活用したいのが、「賃上げ促進税制」です。
従業員の賃金を一定水準以上引き上げた場合に、法人税の税負担が軽減されるという減税措置です。
今回は、中小企業の賃上げ促進税制について、説明します。

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■中小企業の賃上げ促進税制の概要

従業員の給料と賞与の年間支給総額が前年度と比べて1.5%以上増加していれば、給与増加額の15%を法人税額から控除
給与支給額が前年度と比べて2.5%以上増加している場合は、給与増加額の30%を法人税額から控除
前期よりも年間1千万円(2.5%以上増加)賃上げ会社は、法人税額が3百万円(1千万円×30%)減税される

■社員の研修教育費用も賃上げ促進税制の対象

賃上げ相当額を上回る労働生産性を実現するためには、外部の研修教育を受けることが有効
教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加している場合、税額控除率がさらに10%上乗せされる
一時的な賃上げだけではなく持続的に研修教育をして、賃上げ促進税制を利用しながら労働生産性を高めていく

■令和6年度税制改正で賃上げ促進税制が延長拡充
賃上げ促進税制は3年間延長され、2027(令和9)年3月までに開始する事業年度まで適用可能
要件を満たす賃上げを実施した事業年度に控除しきれなかった金額は翌期以降5年間繰越すことができるように改正
女性活躍推進企業や子育てサポート企業に該当する会社は、税額控除率をプラス5%上乗せ

賃上げ促進税制は、会社が法人税の確定申告において控除額を計算した明細書を添付する必要がある

賃上げの増加率や教育訓練費の増加率は決算前に適用の有無を判断して、節税対策として取り組んでおく