経営コラム第72回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!

第72回 インボイス制度点検その3 免税事業者との価格交渉に注意!

インボイス発行事業者の登録数は、2023年5月末現在で3百万件を超えました。
個人事業者のインボイス登録も着実に増えていますが、すべての事業者が登録するわけではありません。
インボイス制度実施後に、会社が免税事業者と取引する場合には、消費税の納税負担が増えることになります。
会社としては、これまでどおりに支払うと損をすることになるので、免税事業者との取引価格を見直さなければなりません。
そこで今回は、免税事業者との価格交渉における注意点について、説明します。

免税事業者と取引していますか?

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■取引先のインボイス発行事業者の登録確認とその後の対応

インボイス発行事業者登録をしない事業者が一定数存在する
免税事業者は取引先からの要請に応えたいが、資金繰りが苦しくなるので登録可否を悩んでいる
免税事業者が課税事業者に転換した場合の支援措置を案内してインボイス登録を推進

■免税事業者との交渉は慎重に

免税事業者との取引や価格の交渉は下請法や独占禁止法上問題になることがある
免税事業者に対する不公正な取扱いをしている発注事業者に対して公正取引委員会が注意を行う
特に小規模零細事業者に対しては、インボイス制度後の取引や価格に関する丁寧な説明が必要

■一方的な消費税相当額の引き下げは下請法違反
一方的にインボイス制度開始時から消費税相当額を全額支払わないというのは認められない
免税事業者との取引に関しては、消費税の経過措置を考慮して価格の見直しをする
インボイス制度開始後3年間は消費税相当額の8割程度を価格に転嫁することを許容する前提で対応

社内で消費税相当額の転嫁基準を取り決めて、免税事業者と個別に取引価格の見直し交渉をする

インボイス制度開始前までに、すべての免税事業者と交渉を終えておく