経営コラム第71回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!

第71回 インボイス制度点検その2 売上代金から振込手数料を差し引かれたときの経理処理

前回に引き続き、2023年10月から始まるインボイス制度における経理実務上の事前確認ポイントを説明します。
今回は、売上代金から振込手数料を差し引かれたときの経理処理について、説明します。
売上の請求書を発行した後、先方が銀行から送金時に振込手数料相当額を代金から差し引いてくることがあります。
この振込手数料という少額な取引なのですが、インボイス制度導入後の経理実務では、次の2つの面倒な問題が生じることになります。
・請求金額と入金額との差額の取扱い
・振込手数料のインボイスの保存義務

振込手数料を差し引かれて入金があった場合、どのような経理処理をしていますか?

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■振込手数料を差し引かれた場合の経理の取扱い

売上代金から振込手数料を差し引かれた場合、請求書の金額を訂正して出し直していない
経理も請求金額と入金額との差額が千円未満の場合には、請求相手に確認していない
差し引かれた振込手数料相当額は、売上値引か支払手数料等の経費として会計処理している

■税込1万円未満の売上値引は返還インボイスの交付不要

インボイス制度では原則として売上金額を値引きした場合には、適格返還請求書(返還インボイス)の発行が必要
少額な金額訂正まで返還インボイスを発行していたら、事業者の事務負担を無駄に増やすことなる
税制改正で少額(税込1万円未満)の売上対価の返還等については、返還インボイスの交付を免除

■差し引き振込手数料を経費処理する場合の消費税区分に注意
2023年10月以降は、振込手数料相当額を経費として仕入税額控除するにはインボイスの保存が必要
買い手側が立て替えた振込手数料のインボイスを毎回検証して経理処理することは実務上難しい
振込手数料相当額は、消費税の課税区分を売上値引きと同様に「売上対価の返還」で処理するのが現実的

少額の売上値引きに関するインボイスは不要になったが、少額でも経費として仕入税額控除するためのインボイスの保存は必要

インボイス制度については細かい取り扱いについて注意すべき点があるので、顧問の会計事務所から説明を受けておく