経営コラム第91回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!

第91回 賃上げ後の業績を3つの財務指標でチェックする

賃上げ後にチェックすべき3つの財務指標とは
「給料を上げないと新卒も中途も採用できない」
「いまの給与水準では優秀な人材が辞めてしまう」
物価上昇が進む中、業績がよくなくても人手確保のために、いわば防衛的な賃上げをせざるをえない会社も少なくありません。
会社としては、売り上げの増加よりも、経費の増加が上回れば、確実に利益は減ります。
最悪の場合、赤字に転落する中小企業も出てくることでしょう。
そこで今回は、賃上げ後にチェックすべき3つの財務指標について、説明します。

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■売上高人件費率を月次決算で点検する

売上高人件費率は、売上高に対する人件費の割合を示す指標
人件費には、毎月の給料や賞与以外に法定福利費や福利厚生費が含まれる
仕事が人間の労働力に依存する労働集約型の飲食業やサービス業は売上高人件費率が30〜50%と高くなる傾向

■労働分配率の上昇が利益に影響する

労働分配率は、付加価値に対する人件費の割合を示す指標
人件費は固定費の中で最も金額が大きいので、労働分配率が高くなると企業の収益性にダイレクトに影響する
労働分配率の上昇は、仕事に対する報酬の支払い方を見直すきっかけになる

■社員の稼ぐ力を労働生産性で測る
労働生産性は、従業員の働きによって生み出された成果を示す指標
売上高や売上総利益、営業利益等の金額を社員数で割って社員一人あたりの稼ぎを計算
賃上げによる社員のモチベーションや活動の成果が、会社の業績に反映されているかどうかを数字で検証

人件費をコストだと考えると削減したくなるが、賃上げは将来に対する投資と考える

社員が効率よく働ける環境を準備して、より高い能力を発揮してパフォーマンスを上げ、会社の成長に貢献してもらう