経営コラム第122回「賢い社長の経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」配信!
第122回 銀行借入金の限度額を返済能力で計算する
銀行融資枠は債務償還年数で決まる
中小企業にとって、事業の継続と成長に欠かせないのが銀行融資です。
しかし、「いくらまで借りられるのか?」「これ以上融資は難しいのか?」といった疑問を抱いている社長は少なくありません。
中小企業が銀行から融資を受ける際、融資金額の判断材料として、銀行が重視するのが、会社の返済能力を示す「債務償還年数」です。
これは、会社が現状の利益を維持した場合、何年で借入金を完済できるかを示す指標です。
社長としては、銀行に融資の申請をする前に、自社の決算書を見て、銀行の融資限度額の目安を計算できるようにしておきたいところです。
そこで今回は、借入限度額を決める債務償還年数について、説明します。
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■債務償還年数は借入金完済までの年数
債務償還年数とは、会社が稼ぐキャッシュフローで借入金を完済するまでに何年かかるかを示す指標です。
債務償還年数 = 借入金残高 ÷(営業利益 + 減価償却費)
債務償還年数は長くても15年以内が許容範囲とされ、これを超える場合は融資審査が厳しくなる傾向
■月次決算で借入金とキャッシュフローを点検
借入金は返済予定表を見ながら、短期借入金と長期借入金の毎月の残高を確認
月平均の営業利益の約120倍(12ヵ月×10年)が、借入限度額の目安と考える
銀行に月次試算表を見せるときには、借入金とキャッシュフローを説明できるように準備しておく
■債務償還年数を改善するための施策
債務償還年数を改善するには、「返済能力を高める」または「借入金を減らす」ことが基本
遊休資産や不採算事業の売却で得た資金がある場合には、借入金の返済に充てることも検討
事業拡大のために、増資をして自己資本を増強し、相対的に借入金比率を下げておくのも有効
「借りられる金額」は「返せる金額」であり、債務償還年数は会社の返済能力を判断する重要な指標
月次レベルで債務償還年数の改善に努めることにより、銀行と安定的な信頼関係を築けるようになる